An equitable and fair process for determining a successor

後継者争いを公平かつ公正に決着させる方法
帝国データバンクによると、2024年度の「後継者難倒産」は507件。過去最多だった2023年度(586件)からは減少したものの、2年連続500件を超えています。社長の平均年齢は60.7歳(2024年)で年々上昇が続いており、高齢化が進めば「不測の事態」に見舞われるリスクも高まり、今後も後継者難倒産は高水準で推移する可能性があるとしています。(集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産、集計期間:2013.1.1~2025.3.31)
事業承継支援に携わってきた経験から言えば、一部を除き、長期にわたり綿密に計画された事業承継はほぼなく、経営者がその役割を果たすことが難しくなってきたと悟った時やご不幸の時に、無理を承知で短期間で承継するケースが多いです。
その時、後継者がいない場合は、経営者はM&A、事業清算、廃業等のいずれかの道を辿ることとなります。最悪の「倒産」だけは回避すべく、当該分野のプロフェッショナルサービスを活用して着地点を探そうと試みるものの、不本意な結果に終わる可能性は否定できません。
幸いにして後継者候補がいる場合、別の悩み、苦しみが生じます。最たる例が後継者争いです。経営者の子供、親族、番頭格の間で繰り広げられる「骨肉の争い」が、資産相続問題と相まって複雑化・混迷化するケースも珍しくありません。
合理的な意思決定と親心の狭間で揺れる経営者、これを機に自分が実権を握ろうと企てる親族、頼りないヒヨッコには任せられないし、自分こそ相応しいと考える番頭格、、、三者三様の思惑が絡み、根回し、駆け引き、裏切りなど、欲望に満ちた泥仕合が繰り広げられることもあります。
世代交代を控えた経営者にとって、後継者を誰にするかは、まさに最期の仕事と言ってもいいでしょう。本当は「経営者になって最初の仕事は自分の退任時期を決めること」なので、そこから逆算して後継者育成をしているべきなのですが、それを言ってはオシマイなので、ここでは触れません。
そこで本稿では、経営者のご子息と現経営陣の間で勃発した後継者争いの解決事例をご紹介します。事業承継では「ビジネス承継」と「資産相続」における諸課題の統合的な解決が必要ですが、今回は「ビジネス承継」の側面にフォーカスしたストーリーにしました。なお、特定をさけるためフェイクを交える点はご容赦ください。
目次
自動車部品メーカーX社における後継者争い
社長の思惑 VS 二人の番頭
次世代経営体制のグランドデザイン
公平かつ公正な決着方法
ビジネスプランコンテストによる経営力評価
コンテストの実施概要
プロセスのサマリ
審査結果
新経営体制の構想
グループ経営体制への転換
老兵は名誉ある撤退へ
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