Small & Medium
ひと言で「中小企業」といってもは成り立ちは様々です。例えば、IPOを目標に掲げる企業がある一方で、一族の生計を立てる家業、親会社から特定の機能を切り出して設立された企業、同じくスピンアウトして独自成長を目指す企業、スタートアップとして創業したものの計画通りに成長できなかった企業、特定企業の系列やグループ等に属し、その柵に絡み取られ実質的な経営権がない企業等もあります。そこで、中小企業庁の定義は参考にしつつ、ここでは「スタートアップほどの成長スピードと成長率を目指すのではなく、市場全体の成長率と同程度のスケールを目指して着実に歩み、レガシーな日本型経営スタイルの特徴を持つ企業」を中小企業と定義づけます。この定義によると、創業が令和以前、親族中心の役員構成、平均的な事業成長率が市場成長率とほぼ同じかそれ以下、転換期を迎えている株式未公開企業、そして現在DXに挑戦するか逡巡している企業等が、典型的な中小企業と言えるでしょう。このような特徴をもつ中小企業の成長ステージを、Founding、Growth、Maturity、BX、Re-Growth、Declineの6つに分類、各ステージにおいて直面する課題を、プロダクト、ストラテジー&マネジメント、マーケティング&セールス、ピープル、アカウンティング&ファイナンス、テクノロジー・プラットフォームの6項目について概観した後、わたしたちが提供するソリューションと紐づけます。
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Stage Issues
1. Founding
2. Growth
3. Maturity
4. BX
5. Re-Growth
6. Decline
HCC Service References
Other References
Stage Issues
1. Founding
創業者ひとり、もしくは数人で、なんからの製品サービス開発プロジェクトを立ち上げた状態です。本ステージにおいて直面する課題は下記の通りです。
- プロダクト
- MVP(Minimum Viable Product、必要最小限の機能を持つ試作品)の開発
- オペレーション戦略
- ストラテジー&マネジメント
- パーパスデザイン&ブランディング
- 差別化/ニッチ戦略
- マーケティング&セールス
- ターゲティング(ペルソナ・デザイン)
- 4P、4Cのデザイン
- ピープル
- 創業者のみ、もしくは親族数名
- アカウンティング&ファイナンス
- 必要資金額:数百万円規模(運転資金3か月分が目安)
- 資金調達先:自己資金、肉親・縁者
- テクノロジー・プラットフォーム
- ITアーキテクチャ:メインフレームを軸に構成したシステムをオンプレミスで運用
- アナリティクス:クレンジングを経たデータの集積
最も重要なのはスタートアップと同様にターゲティング(ペルソナ・デザイン)です。誰の、どのようなジョブを解決するためにソリューションを提供するのかを決めなければ、MVPが具備すべき機能を定めることができないので、まずこの点に注力し、ペルソナから学んだことをMVP開発にフィードバックします。しかし、スタートアップほどのスピードで急成長を目指すわけではない中小企業のビジネスモデルは製品開発モデルであり、昭和、平成時代からの価値観や行動特性を引き摺っていることや、メインフレームやオフコンで構築されたITアーキテクチャが多い点に留意が必要です。現代の経営が具備すべき価値観や行動特性、ITアーキテクチャに求められる機能、内容、水準、スピードとは大きく異なるがゆえに、数多くの課題が潜んでいますが、デジタルネイティブではないだけに課題認識がそこに及ばない可能性があります。
2. Growth
前ステージで、ペルソナ、ジョブ、ソリューション(提供価値)、MVP開発が完成しました。中小企業におけるGrowthステージは、スタートアップにおけるSeed、Early、Middleの3つのステージ、つまり爆発的な成長を遂げる前段階までに該当するものとして考えます。本ステージにおいて直面する課題は下記の通りです。
- プロダクト
- 本プロダクト開発、UEと限界利益、再現性の確認、スケール・ドライバーの特定
- オペレーション体制の確立
- ストラテジー&マネジメント
- 事業戦略のデザイン
- 初期顧客層の開拓・拡張による単月黒字化
- 業績マネジメント体制の確立
- マーケティング&セールス
- 初期顧客とのPMFの確認
- 広報への投資
- 販売数量、顧客単価の引き上げ
- ピープル
- 30名前後
- 機能別組織編成
- アカウンティング&ファイナンス
- 必要資金額:数千万円規模
- 資金調達先:VC、金融機関
- テクノロジー・プラットフォーム
- ITアーキテクチャ:アセスメント
- アナリティクス:基本的なアルゴリズムによるトランザクションデータの活用
最も重要なのは単月黒字化です。そのためには、プロダクトと初期顧客とのPMF、成長するためのKFS(UEと限界利益、再現性、成長のキードライバー)の確認、増産体制の確立による売上成長が必須になります。PMFをできるだけ早く確認して本プロダクトを開発し、初期顧客に購入してもらって口コミや見込み顧客を紹介してもらう一方、プロダクトの増産体制も整えることが必要になりますが、ここで躓く企業が非常に多いのが現実です。その理由は、成長のキードライバーが特定できていないことにあります。系列やグループのエコシステムに組み込まれている立場にある中小企業の場合は、成長のキードライバーを親会社のような上位企業によってコントロールされており、UEや限界利益の観点から見ると本来行うべきではない商取引でも受け容れざるを得ない現実に苛まれるケースも多いと考えます。利益確保は一旦脇に置いて、まずは売上増を優先する企業もありますが、それがゆえに単月黒字化が遠のくことにもなるため、柵にとらわれず英断を下すことが求められます。組織面では、体裁は整いつつあるものの、機能面では期待水準に満たず、適所適材の配置もできないことが大半であり、採用力不足で優秀人材の採用が難しいため、次善の策が必要になります。また、ITアーキテクチャに関しては、レガシーからの脱却が急務であるという認識のもと、まず現状を分析し、目指すべき姿を定義して実現手段を検討するためのアセスメントに取り組むこととなります。
3. Maturity
前ステージで事業が軌道に乗り、本ステージではメインプロダクトを軸とする事業拡張が進みます。事業成長率は鈍化する傾向にありますが、Starが衆目を集め、Cash Cowが潤沢なキャッシュを稼ぎ出しているため、投資次第ではシェアを奪取できそうなProblem Childの中から次のStarへと育つ可能性があるプロダクトを開発しようと苦心しているところでしょう。採算性の悪いDogが収益を押し下げるので、機を逃さずに撤退するという意思決定にも迫られますが、総じて安定基調にあります。本ステージにおいて直面する課題は下記の通りです。
- プロダクト
- プロダクト・バージョンアップ
- イノベーション並びに新プロダクト開発によるラインナップの拡充
- ストラテジー&マネジメント
- 事業拡張戦略
- 通期黒字化(少なくとも一期黒字化)
- マーケティング&セールス
- 新規顧客向けキャンペーン並びに既存顧客向けアドボケーター育成プログラムのデザイン
- クロスセル・アップセルの徹底
- ピープル
- 30~40名前後
- 協働パートナーとの提携
- アカウンティング&ファイナンス
- 必要資金額:数億円規模
- 資金調達先:VC、金融機関
- テクノロジー・プラットフォーム
- ITアーキテクチャ:マイグレーション
- アナリティクス:高度なアルゴリズムを用いた統合データモデルの活用
最も重要なのは、キャッシュを稼ぎ出せている間に近い将来のStarとCash Cowを育て上げること、つまり新しいプロダクトや事業を開発して優位性を確立することです。通期黒字化にむけて事業活動が堅調であることは望ましいことですが、順調な時にこそ注意が必要であり、市場成長率、競合動向、新しい技術開発の動向等、成熟市場における衰退の兆候をいち早く察知するセンサーをストラテジー&マネジメントシステムに組み込んでおきましょう。また、初期顧客とその隣接顧客群から売上と収益を確保するためのマーケティング施策を講じ、クロスセル・アップセルを促進するキャンペーンやアドボケーター育成プログラムを実行し、ファン・コミュニティの形成を進めましょう。収益性を引き上げる業務効率化の一環として、パーパスに共感した社外パートナーとの協働関係を模索し、需要が増えても固定費(人件費)を増やさず、変動費(外注費)で対応できる収益構造を確立します。ITアーキテクチャに関しては、前ステージのアセスメント結果を踏まえて、オンプレミスからクラウドへ、あるいは言語や環境の移行に着手して、後に控えるBX(Business Transformation、事業構造変革)時に適切に機能する次世代ITアーキテクチャを構築するための下準備を整えます。
4. BX
前ステージで成熟期を迎えたものの、本ステージでは既存事業による成長にある程度の限界が見えてきます。プロダクトの陳腐化や、モノ言う賢い顧客の増加、新たな競合の参入等、売上や収益が減少傾向になり、なんらかの打開策を打たなければ凋落の危機が訪れることになります。イノベーションや新プロダクト開発、そして新規事業開発という難しいテーマに取り組まなければならないことに加え、アナログビジネスモデルで成り立っていた中小企業は、デジタルビジネスモデルへの転換という難題にも直面することが重なります。そこで、わたしたちはこれまで「転換期」として知られていた本ステージを、「BX(Business Transformation)」ステージと再定義します。本ステージにおいて直面する課題は下記の通りです。
- プロダクト
- PPMに基づくラインナップの見直し
- イノベーション創発による新プロダクト開発
- ストラテジー&マネジメント
- DX
- リーン・スタートアップ戦略
- デジタルマネジメントモデリング
- マーケティング&セールス
- デジタルマーケティング戦略
- 新たなHX/CXのデザイン
- ピープル
- 50名程度
- デジタル人材、ビジネス人材との協働
- アカウンティング&ファイナンス
- 必要資金額:数十億円規模
- 資金調達先:金融機関、事業会社
- テクノロジー・プラットフォーム
- ITアーキテクチャ:モダナイゼーション
- アナリティクス:データサイエンスを用いたリアルタイムデータの活用
最も重要なテーマがDXであることは言うまでもありません。DXの本質はビジネスのトランスフォームにあり、その手段としてデジタル・テクノロジーを活用するのでデジタル・トランスフォーメーションと呼ばれていることを再認識しておきましょう。現代の顧客の期待に応えるだけでなく、それを上回ってWow ! と言わせしめるには、即応性、新規性、希少性、柔軟性、そしてエンタテインメント性に乏しい旧態依然としたHX/CXでは難しく、それを叶える新たなHX/CXをデザインすることを軸に据えたビジネスモデルに刷新することが必須になります。新しいプロダクトの価値を高めることは当然ですが、それを顧客に届けるカスタマージャーニーもそれに相応しいものでなければ顧客はファンになってくれないのです。このような取り組みを実行するために、今まで貢献してくれた人材とは異なる強みを持つ人材、つまりデジタル系人材とビジネス系人材が必要になります。デジタル系人材は、テクノロジーやデータを活用してイノベーションと新プロダクト開発に長けた人材であり、ビジネス系人材は、デジタルビジネスにおいて新規事業を創造し、スケールさせることに長けた人材です。両者とも労働市場では稀有な人材であり、採用は事実上難しく、協働するだけでも既存人材の年収をはるかに上回る経費が必要になります。また、テクノロジー・プラットフォームの一新も急務です。前ステージまでに徐々にレガシーシステムからの脱却とアナリティクスの活用にむけて一段階ずつ準備作業を進めてきたので、本ステージで総仕上げに入りましょう。なお、場合によってはレガシーシステムに見切りをつけてモダナイゼーションも行わず、デジタルビジネスモデルが具備すべき要件を満たす新しいプラットフォームを導入する方法のほうが効率的なこともあります。これらの課題を解決するためには多額の資金が必要になりますので、CVC、VC等からの投資をはじめ、メインバンクからの融資、中小企業のデジタル化を推進する助成金等も活用して調達に努めましょう。なお、BXに取り組む際の注意点は、自社が掲げるパーパスによってはDXに挑戦する必然性がないということです。一代限りの家業、参入市場の縮小に伴って事業継続の目途が立たない企業、系列や親会社のエコシステムに組み込まれているため、親会社等からの要求水準を満たすことができればそれでよい企業等の場合は、既存事業のデジタライゼーションで問題ないことも多いので、業界内でのポジショニングやエコシステム内の位置づけ、そして自社独自の生き残り戦略にフィットするBXに取り組むことが求められます。ただ、既存事業のデジタライゼーションも高難度なテーマであることに変わりはないので、デジタルビジネスモデリングとレガシーシステムからの脱却、デジタルマネジメントモデル、チェンジマネジメント等への取り組みは必至です。
5. Re-Growth
前ステージでBXに成功したため、衰退兆候から脱却、再び成長する手立てを整えることができました。本ステージでは、持続的成長のための施策を講じます。テクノロジーの発展につれて、更に重要性を増したヒューマンキャピタルにフォーカスしたヒューマンセントリック(人間中心主義)なインサイトドリブン経営への進化がテーマになるでしょう。本ステージにおいて直面する課題は下記の通りです。
- プロダクト
- イノベーション創発による次世代プロダクト開発
- アドボケーターとのプロダクト共創
- ストラテジー&マネジメント
- インサイトドリブン経営
- IBCM戦略
- マーケティング&セールス
- ファン・コミュニティの形成
- HX/CXの高度化
- ピープル
- 100名規模
- ヒューマンキャピタルマネジメント体制の刷新
- アカウンティング&ファイナンス
- 必要資金額:100億円規模
- 資金調達先:社債(主に私募債)、金融機関
- テクノロジー・プラットフォーム
- ITアーキテクチャ:プラットフォーム・エンジニアリング、APIマネジメント
- アナリティクス:エコシステム全体への適用
最も重要なのは、持続的成長を実現する「緩やかな連携」の仕組みを確立することです。顧客、取引先、運命共同体ともいえるエコシステム、協働パートナー、そして従業員等のステークホルダーとの連携の仕方は、かつてないほど多様化し、関係性も上下から互いに同等の立場へと変わりました。例えば、新しいプロダクト開発にはアドボケーターとの共創が欠かせなくなり、彼らと創造した新プロダクトをSNSで拡散してもらうことで顧客開拓に一役かってもらうことや、HX/CXの刷新にも忌憚のない意見をフィードバックしてくれます。また、経営体制の高度化、すなわちインサイトドリブン経営への進化も必須です。インサイトドリブン経営とは、社内外に存在する様々なデータから、ヒトとAIが価値あるインサイト(洞察)を導出して、アジャイルな意思決定を実現する経営モデルです。経営者や年長者のKKD(勘・経験・度胸)に依拠した経営から脱し、客観的なデータに基づく意思決定が実行できる経営へと進化することにより、確度の高い持続的な成長戦略をデザインし、実行できる体制を確立できると考えます。中堅企業への成長を視野に捉えた今、同族経営の弱点であるガバナンス体制の確立にも取り組む必要があります。なお、再成長の目途が付いた時点で、IBCM(Integrated Business Continuity Management、統合的事業継続マネジメント)のデザインに取り掛かることを推奨しています。IBCMは経営者の不測の事態への対処も含めて事業継続リスクを統合的にマネジする計画であり、事業承継、事業継続、緊急対応という3つの計画で構成するものです。相続対策を検討する際のマスタープランともなるため、家業や同族経営企業にとって策定する価値があるものです。マーケティングに関しては、ファン・コミュニティを形成して、アドボケーターとの緊密なコミュニケーションを図ります。彼らは、プロダクトへの意見を寄せる貴重なフィードバッカーであるのは勿論ですが、インフルエンサーやエヴァンジェリストの役割も担っていただきたいので、プロダクトのファンから企業のファンになってもらうことが重要です。アドボケーターのHX/CXを戦略的にデザインすることにより、それを実現しましょう。組織面に関しては、中小から中堅規模へと成長した結果、必要になる人材とマネジメントのあり方が変わります。職務の高度化・専門化が進むにつれ、必要な人材もプロフェッショナルになり、彼らをマネジメントする立場の人材に求められる資質も高度化・専門化しますから、初期の頃から貢献してきた人員のなかにはそれに応えられない人も出てきます。デジタルビジネスモデルにおけるデジタルな働き方についてこられない人と併せて、人材の入れ換えが必要になるのは致し方ないことです。そして、貢献してくれる人々に関しては、今日的なマネジメントシステムでの処遇が必須になります。テクノロジー・プラットフォームに関しては、プラットフォーム・エンジニアリングとAPIマネジメントの実現が重要なテーマです。プラットフォーム・エンジニアリングは、DevOps※1やCI/CD※2のようなアジャイルなアプリケーション開発基盤のことです。顧客のニーズを察知したらすぐにアプリケーションを開発して提供し、なんらかのフィードバックを得た時にすぐに改修できる即時性と迅速性がなければ、爆速で激変する顧客の要望に応えることが難しいのです。またAPIマネジメント※3は、他社が提供するサービスを活用することで、自社サービスを迅速に立ち上げるだけでなく、エコシステム全体での顧客サービスを創出することが可能になるので、卓越したHX/CXをデザインするためには不可欠です。こうしたプラットフォームを競合に先駆けて構築することで競争優位性を確立します。このような取り組みを実行するための資金を確保するためには、金融機関からの融資は勿論ですが、社債発行も検討すべきでしょう。調達資金額が大きいため公募債を検討すべきですが、格付けの取得や有価証券報告書の提出が必要なので、その準備も必要になります。いずれにせよ、中小企業から中堅企業へのスケールが現実的なものとなった以上、社会公器として具備すべき要件を備えることが必要となります。
※1 DevOps:DevelopmentとOperationsを組み合わせた造語。開発担当と運用担当が緊密に連携して柔軟かつスピーディにシステム開発を行う手法のこと。
※2 CI/CD:Continuous Integration / Continuous Deliveryの略。ソフトウェアの変更を常にテストし、自動で本番環境に適用できるような状態にしておく開発手法のこと。
※3 APIマネジメント:API(Application Programming Interface)は ソフトウェア、プログラム、Webサービスの一部を公開する手段。APIマネジメントとは、埋もれていたデータやサビスを効率的に使えるよう、外部パートナーに対してAPIを公開し、制御、分析する一連のプロセスを指す。
6. Decline
持続的成長の仕組みを確立した企業以外、いつかかならず直面するのが衰退と終焉です。様々な打ち手を講じても衰退が避けられないことが判明した場合、経営者としてなすべきことは、首尾よく事業をたたむハッピー・エンディングを実現することと、経営者一族の生計を維持するハッピー・リタイヤメントの2つです。倒産という最悪の事態を回避することは勿論ですが、ステークホルダーに対してできる限り迷惑をかけないという最低限の責任を果たすために、前ステージで策定したIBCMに基づいて下記の課題に取り組みます。
- ハッピー・エンディング
- プロダクト:事業・製品別売却等の検討
- ストラテジー&マネジメント:キャッシュアウト施策の実行
- マーケティング&セールス:顧客・取引先に対するコミュニケーション
- ピープル:再就職支援パッケージの提供
- アカウンティング&ファイナンス:借入金返済方法の明確化
- テクノロジー・プラットフォーム:資産売却
- ハッピー・リタイヤメント
- 資産売却益
- 退職金
- 役員報酬・顧問料
- 配当金
- 相続対策
まず、ハッピー・エンディングでは、事業終了のお知らせをすべてのステークホルダーに対して行うことは当然として、意に反して迷惑をかけることになる関係者に対しては特に丁寧なコミュニケーションを重ねて理解と協力を仰ぐことが大切です。長きにわたりご愛顧いただいた顧客、取引先、資金、そして社員に対しては、特に心を砕いて行いましょう。事業の引継ぎ先を探し、必要な情報を引継ぎ、アフターメンテナンスやサービスに関する責任の所在を明確にして、顧客と取引先の不安の払拭に注力します。借入金の返済には、事業売却益・譲渡益、資産売却益を充当して完済することが基本ですが、No.1シェアを持つ企業やオンリーワン企業ではない中小企業の場合、事業売却や事業譲渡は困難なことが一般的なので、資産売却益を充当するのが精一杯という厳しい現実があります。また、これまで貢献してきた社員に対しては、転身を支援する特別パッケージを提供しましょう。通常よりも割増分を加算した退職金の支給をはじめ、知己経営者による転職先の紹介、再就職支援サービスやリラーニング費用の全額支給等、ある程度期間の余裕を設けたうえで、その間の生活資金を保障することが望ましいと考えます。また、ハッピー・リタイヤメントでは、事業終了後の経営者一族の生計を維持するための施策を実行します。事業終了時の保有している個人名義資産の売却益、役員退職金が主な収入となりますが、借入金の個人保証をしているケースが大半である以上、これらの収入も返済に充当させられることがあり得るため、新たな定期収入を得る必要があるでしょう。これまでの知見を活かして他社の社外取締役や顧問等に就任した際の報酬や、事業売却や事業譲渡ができた場合は株式配当金、CREを個人名義に変更したうえで他社に貸した時の賃貸料等が考えられます。勿論、アイディアとエネルギーがあれば新たに起業して再び経営に挑戦することも可能です。なお、高齢経営者の場合は、心身共に健康である間に自らのライフリスクに対する備えの一環として相続対策を練っておくことは必須です。法律遵守は当然ですが、一族を守るために合法的に認められた権利を行使することは誰もが認められていますので、プロフェッショナルを活用して最適な方法を考案しておきましょう。
HCC Service References
中小企業が成長ステージごとに直面する課題に対して、わたしたちが提供するソリューションは下記の通りです。詳細はリンク先をご参照ください。