Retail
Outlook
COVID-19による大打撃を被った本業界は、レガシーシステムの見直しと、より柔軟なオペレーション体制への転換を進め、急激に変化する消費者の嗜好と購買行動を的確に捉えてロイヤルティを向上させるためのテクノロジーツールとアナリティクスが必須であるという学びを得たと考えます。
例えば百貨店業界は、高コスト体質からの脱却に向けて資本効率の改善を目指し、収益構造に占める非百貨店事業(不動産や金融等)の比率を50%程度まで引き上げることを計画したり、遅れていたデジタル化を加速してHX/CXの改善に本腰を入れ始めました。CVS業界は、国内の顧客の関心が利便性から品質にシフトしたことに合わせ、プレミアムを付加した商品・サービスの開発へ注力することと、FC加盟店における労働負担の軽減策や省人化策(セルフレジ、無人決済等)の実施、新たな収益の柱としてデジタル・サイネージの導入等を掲げる一方、成長戦略としては海外出店の加速を計画しています。COVID-19による外出自粛が緩和されて巣篭り需要が一巡したうえ、値上げラッシュに直撃されたスーパー業界では、買い控えが進む消費者の財布の紐を少しでも緩めてもらうために、PBの価格を据え置いたり、Amazonという強力なプラットフォーマーと連携して、即日デリバリ等の価値を付加する等、ネットスーパーへの投資も進めています。また、経営効率の改善への取り組みとして、地方スーパー同士の合併やナショナルチェーンへの吸収合併をはじめ、開発費用や物流費用のコントロールがしやすいPB商品の充実を図るほか、セルフレジ等の省人化策を実施する一方、重要な役割を担うに相応しい人材は積極的に登用する試みも始めています。
通販業界では、巣篭り需要の増加に伴い堅調が続いていましたが、小売り各社のオムニチャネル戦略の進展に伴う競合の増加と、配送業者の人手不足とコスト増、短時間配送の廃止等をどう克服するか、またAmazonや楽天のような強力なプラットフォーマーとの競争に晒されています。物流コストの増加に苦慮しているのは商社業界も同じで、在庫量予測や物流の効率化にAIやRPAを導入し、サプライネットワーク全体の業務効率を向上させる取り組みに注力しています。また、単にメーカーと小売りの橋渡しをするだけに留まらず、PB開発にまつわる提案と販路開拓を行ったり、総合商社の場合、注力する事業を国際情勢の動向に最適化させて経営の安定性を高め、収益基盤を強固なものとするようマネジメントしています。アパレル業界では、在宅勤務の拡大によってファッションのカジュアル化が進んだため、大量仕入れ・廉価販売という商習慣が立ち行かなくなり、在庫圧縮と値引き率抑制により利益率を引き上げる試みが進んでいます。また、サステナビリティに対する消費者意識の変化、が製品選択や買い控えにも影響を及ぼし始めたため、各社とも対策に追われることが予想されます。日用品業界では、オムニチャネル戦略に伴って競争が激化する中で、本業停滞に伴う関連業界への進出や提携、海外進出の加速に活路を見出そうとする企業が増えています。普及品よりも高付加価値商品を選びたい消費者の要望に応えるための新商品開発や、素晴らしいHX/CXを提供するカスタマージャーニーのデザイン等、消費行動を喚起する取り組みが鍵となるでしょう。
Consulting Themes
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リテールエコシステムの強化
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HX/CXのデザイン
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オムニチャネル戦略の策定
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コストマネジメント戦略の策定
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プライシング並びに販売促進戦略の策定
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新店舗戦略の策定
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デジタルサプライネットワークの高効率化
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オペレーション改革
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リラーニング戦略の策定
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デジタル時代にフィットするイネーブルメントのデザイン
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タレントマネジメント 等
Companies in this industry
- 百貨店
- GMS、食品スーパー
- CVS
- 各種専門店
- 通販
- 卸売
- 商社
- アパレル
- 日用品 等