People, Culture & Organization
不安定で不確実、複雑さが増した現代において、誰も見たことのないフロンティアを切り拓く成長戦略は、持続的な価値創造のために新たなつながりを活用するものへと様変わりしました。つながりが重視されるに伴って、自社社員だけを対象とする「閉じた」マネジメントではなく、社外のヒトともつながるオープンなタレント・エコシステムの構築が必須になります。注目すべきは、DXを担うデジタル人材(DHC:Digital Human Capital)と、彼らに成果貢献してもらうための人事機能とHCM(Human Capital Management)プラットフォームのアップデート・高度化・デジタル化です。社内外のヒトを惹きつけるうえでパーパスが最重要であることは勿論ですが、パーパスの実現主体がヒトである以上、人事機能とHCMプラットフォームもインダストリー4.0時代に相応しい内容へと刷新せざるを得ないのです。
Digital Human Capital
企業には時を超えて受け継がれた固有のDNAがあります。それは、フィロソフィー、ミッション、ビジョン、バリュー、レジェンド、エポックメイキングな出来事、成功と失敗、顧客、パートナー、取引先等との関係性、リーダーシップやマネジメントのあり方、ヒトに対する考え方、ワークフォース、ワークスタイル等から形成されたものであり、固有の価値観、意思決定スタイル、リスクテイクの姿勢、行動特性等を決定づけるものです。近代の産業革命からDX以前までの、いわゆるインダストリー3.0時代は、成長・発展における不連続性や不確実性は現代ほどではなかったので、DNAも大きな変化がないまま受け継がれてきたと考えられます。
しかし、インダストリー4.0時代の幕開けで事態は一変します。3.0時代では差別化が基本戦略でしたが、4.0時代はパーパス起点で継続的につながる新たなエコシステムの構築による成長を目指す戦略へと変わり、ビジネスパーソンには、デジタル・ビジネスモデルで成果を創出するためのスキルと行動特性が求められるようになりました。ビジネス・アプリケーションのオペレーション・スキル、プログラミング、デザイン・シンキング、ディープ・ラーニング、アジャイル、スクラム、スプリント等、今日的なワークフォースとワークスタイルにおいて具備すべきスキルと行動特性は、働く場所を確保するために不可欠になりました。
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これにより、企業固有のDNAに新たにテクノロジーへの親和性やリテラシー等のデジタル要素が加わりました。DXを成功させるためには、デザイナー、アーキテクト、エンジニア、データサイエンティスト、プログラマー等、デジタル要素を持つヒトの利活用が必須になりましたが、このような資質を備えた優秀人材を巡る激しい争奪戦で凡庸な中小企業が勝つことはほぼ無理です。そこで必要になるのが、社内外のヒトを惹きつけて離さない魅力的なパーパスによって生成されるタレント・エコシステムの構築です。自社社員だけの「閉じた」タレント・マネジメントをやめ、社内外を問わず、必要なヒトをオンデマンドで利活用できる継続的なつながりを構築して、自社が社外の方々を利活用する一方、他社にも自社社員を利活用してもらう体制へとシフトするのです。エコシステム内でイニシアティブを発揮するためには、使う側でいるだけでなく、使ってもらって付加価値を提供する側で居続けることが重要であり、他社から要望を寄せられるレベルのデジタル人材を数多く育成・輩出できる仕組みを確立することが求められます。
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Enablement
イネーブルメントとは「何かを成し遂げられるよう能力を高め力をつけること、有効化」という意味であり、わたしたちはこれを「個々人が持つ強みやスキルを、組織が統合的・戦略的に活用できるプラットフォームとして確立すること」と定義します。クライアントのイネーブルメントは変革成功の最も重要な鍵であり、ビジネスモデルがトランスフォームする以上、それを支えるプラットフォームであるイネーブルメントもまたトランスフォームに迫られるのは必然です。
例えば、わたしたちと共に変革を推進してきたクライアントが、独力で定着化に臨み始めた途端、変革にフォーカスした取り組みが滞り始め、ルーティンとのプライオリティが逆転、プロジェクトで行ったアジャイル型の働き方が、従来のウォーターフォール型のそれに絡み取られ、結局変革以前の状態まで退化して変革が頓挫することがあります。わたしたちの関与中はある種の「非日常的な職務環境」であり、変革がプライオリティNo.1という共通認識がなされているうえ、わたしたちが提供したフレームワーク、ファシリテート、ディスカッション、サジェスチョン等に則って取り組むことで継続的に成果を得ることができます。しかし、それらの知見や変革業務の推進方法をイネーブルメントに昇華するまでに至らなかったがために、こうした憂き目に遭うケースが散見されました。この問題を解決するため、DX推進を通じて、クライアントが独力で変革成功に辿り着けるようイネーブルメント・レベルを引き上げる取り組みを並行して実行します。
はじめに、イネーブルメントの司令塔である人事部門トランスフォーメーション(HRDX、Human Resource Department Transformation)に取り組みます。人事機能をHRBP(HR Business Partner), CoE(Center of Expertise), HR OPs(Operations) という3つに分け、21世紀型戦略人事を推進するミッションへと転換、カルチャ・組織の側面からのDX推進エンジンとなる組織へと変革します。
人事部門トランスフォーメーションの詳細はこちら → HRDX
続いて、DX成功に資する「成果創出」「能力開発」「テクノロジー」の3つの仕組みをアップデート・高度化し、最終的にはコア人事制度改革に至ります。「成果創出」領域ではビジネスモデル・イノベーションやプロジェクトマネジメントに必要なメソドロジーの習得を、「能力開発」領域では陳腐化した知見のアンラーニングと、現代の仕事をするうえで必須となるビジネススキルやITリテラシーに関するRe-Learningを、そして「テクノロジー」領域ではタレント・エコシステムを機能させるうえで不可欠となるHRTechの導入を実行します。なお、イネーブルメントと個人のRe-Learningは両輪の関係にあるので、導入時は並行して取り組むこととなります。
リラーニングの詳細はこちら → Re-Learning
HRテックの詳細はこちら → People Analytics
また、従来のコア人事制度(ランク・評価・報酬制度)を、タレント・エコシステムと多様化する働き方に対応できるフレキシブルなマネジメントシステムへと抜本的に改革、主にヒトに関する側面から21世紀型HRMへとトランスフォームします。