Succession Plan

平時に予め策定できる事業承継計画は、i-BCMのコアとなる計画です。オーナー経営者にとっては、ビジネス承継だけでなく相続に関するマスタープランとなるため、事業存続と一族の幸福のために、常に内容をアップデートすることが不可欠です。本来は経営者に就任したと同時に事業承継計画のアウトラインを描くべきですが、退任まで15年程度の猶予がある時点で策定するのが現実的でしょう。

コンテンツは、8つの要素におけるボトルネックのひとつひとつに対して、経営者自身はどのようにしたいのかという意思を明文化したもので構成します。ビジネス承継に関しては、後継者の選抜・育成、資金繰り、後継者への信用創造、後継者を支える経営陣の選抜・育成、新経営体制と新マネジメントシステムのデザイン、事業継続計画、キャッシュアウトの検討、ステークホルダーとのコミュニケーション戦略の方針を定め、資産相続に関しては、自社株承継、財産分与、納税資金調達方法、争族防止策等をまとめます。弁護士、会計士や税理士等のプロフェッショナルを活用して、法律に則った手順で具体的に指示しておくことが重要です。

事業承継計画は長期にわたり、時とともに計画と実態が乖離することや思わぬところで綻びが発生することもあります。承継される側の事情、例えば、後継者候補の成長度や次世代経営陣候補の選抜が計画通りに進むとは限らず、目論見よりも時間がかかったり、適材の選抜ができないことや、自社株購入資金の調達に苦しんだり、関連法規改訂等への対応が必要になる等、想定外の問題に直面することもあるでしょう。こうした場合でも、予め具体的な事業承継計画があれば、経営者の意思に立ち戻って妥当な判断を下すことができるでしょう。

BCP

事業継続計画は、緊急事態に遭遇した時に、事業資産の損害を最小限に留めつつ、事業継続あるいは早期復旧のために、平時における活動や、緊急時における事業継続活動について予め定めたものです。BCPはリスクアセスメント→事業承継戦略の策定→BCP→トレーニング&アップデートというBCMサイクルの一環として位置づけられ、事業継続のための具体的な行動計画書として取り纏めます。東海・東南海・南海トラフ大地震が懸念される今、BCPの中でもDR(Disaster Recovery:災害復旧)に重きを置く企業も増えていますが、DRがITにフォーカスしたものである以上、ビジネスプロセス全体を適切に機能させるための計画であるBCPの策定に優先して取り組むべきです。

BCPはその名の通り、いわゆる事業継続計画書であり、対応体制でもありますが、先に記したように、BCMの一環としてのBCPであることに留意して策定する必要があります。例えば、万一の際、ビジネスプロセスやエコシステムのどこに、どんなボトルネックが発生するのか、ステークホルダーに及ぶ影響はどの程度なのか、資金ショートの可能性はないか、リカバリ方針、目標復旧時間の設定、合理性の見極めはできているか、文書化のルールや対応体制は明確に決まっているか、また計画策定後のシミュレーション、ロールプレイ等のトレーニングやアップデートはできているか等、いつまでに、何を、どこまで、どのように復旧させるのかについて、明らかにしましょう。

Contingency Plan

事業継続の最大の危機発生当日から、様々な懸案を片付けて危機を脱出するまでの緊急対応策をまとめたものが本計画です。経営者がご自身の万一の際のことを想定して計画を策定するのは愉快なものではありませんが、事の重大性に鑑みれば、予め平時に策定しておくことの意義に首肯していただけるものと考えます。

直近3か月から半年間程度の資金繰り、新しい代表取締役の選任、社葬、自社株承継、資産相続、今後の事業承継の可否判断等、短時間で次々と重大な意思決定を下すことが求められます。経営陣や後継者候補、遺族等への対応体制を早急に決め、法律に則って適切な手順で粛々と進めることに集中します。また、後継者や経営陣に対する社会的な信用を取り付けられるよう、金融機関や取引先、顧客に対するコミュニケーションを戦略的に行うよう、準備しておかねばなりません。ステークホルダーが一堂に会する社葬の場は、故人の追悼は勿論ですが、後継者候補と次世代経営陣候補のお披露目の場でもあるということを強く認識し、世代交代後も盤石の体制で事業を継続していけることをアピールすることに尽力しましょう。

Other References

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Digital Management Modeling
デジタル・マネジメントモデリング
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Leadership
リーダーシップ
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Innovation
イノベーション
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Lean Startup
リーン・スタートアップ
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Cost Management
コストマネジメント
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Performance Management
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i-BCM
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