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Outlook

本業界は、社会的インフラの構成レイヤーの一部であり、他業界の事業活動や市民の生活を支える基盤として、社会的使命と利益確保の狭間で苦闘を強いられています。スマートシティ構想においても非常に重要な役割を期待される一方、人手不足や低賃金・長時間労働の改善が遅々として進まない課題を解決することが求められています。本業界に属する鉄道、公共交通、物流について、以下概観します。

鉄道

  • これまで鉄道事業を基幹事業とし、小売業、不動産業、ホテル業等を関連事業とする多角経営によって成長を実現してきましたが、消費者のライフスタイルの変化に伴う移動需要はCOVID-19以降落ち込み、日常生活圏は縮小傾向にあります。行動制限の解除後、旅行・観光等の非日常エンタテインメント需要は徐々に回復してきたものの、鉄道事業がCOVID-19以前の水準まで戻ることはないという見方もあり、収益改善のための運賃値上げ等も始まりました。関連事業も堅調とは言い難いものの、駅空間の更なる活用と、駅を中心とする交通ネットワークの統合、MaaSソリューション等の開発等による事業構造改革の取り組みに各社とも注力しています。このような情勢を踏まえて、鉄道事業者がデザインすべきパーパスは、消費者の日常生活圏のハブ機能の強化と、非日常エンタテインメントにおける素晴らしいHX/CXの価値創造の2つになると考えます。
    • 日常生活圏のハブ機能の強化
      通勤、通学、通院、日用品の買い物、ちょっとした娯楽等、消費者の日常において、鉄道各社の駅は、「ヒト」「コト」「モノ」のハブとなることを求められるでしょう。「ヒト」のハブは、不動産オフィス、シェアオフィス、オープンイノベーションセンター等であり、「コト」のハブ、ショッピングモール、カルチャセンター、ヘルスケア、MaaS等、「モノ」のハブは、貨客混載集荷、スマートロッカー、EC物流倉庫等を包括するものです。なお、「ヒト」のハブ機能の強化施策に関しては不動産業界、「コト」は流通・小売業界における取り組みをご参照ください。日常生活圏は最寄り駅で形成されることが多いものの、お気に入りの街への乗換・乗継機能も重視されるので、鉄道事業の本質的な機能の充実が不可欠であることは言うまでもありません。
    • 素晴らしいHX/CXに資する価値創造
      エンタテインメント性を求める消費者にとって、移動体験の印象がHX/CXの品質に大きな影響を及ぼします。人気沸騰中の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」「TRAIN SUITE 四季島」「ななつ星in九州」等、豪華列車で絶景とグルメを満喫できる体験は誰もが喝采を唱えるものであり、鉄道事業者だけが提供することができる稀有な価値でしょう。消費者にとって、エンタテインメントは目的地での体験だけでなく、出発から帰宅までの移動体験をも含めたすべてを堪能できて初めて価値を実感できるため、目的地の観光名所、宿泊施設、目的地周辺のMaaS等の関連サービスを含めて、VRやMR等のテクノロジーを活用して進化させることが求められます。また、乗客同士のトラブルやカスタマーハラスメント、事件や事故が頻発する現状を考えると、移動体験における快適かつ安全な空間の提供という価値についても、新たなサービスを提供できる余地があります。家族やグループで占有できる個室・スペースの提供や、コンシェルジュとセキュリティを兼ね備えたスタッフによる高次元かつ安心安全なホスピタリティの提供等、ハードとソフトのおもてなしが期待されます。

公共交通

  • 持続可能な経済成長や様々な社会的サービスを享受する公平な機会を提供する手段として、交通網が発達した都市圏は勿論、人口流出により過疎化に歯止めがかからない地方において、とくにその重要度が増しています。しかし、重要でありながら利用客数の減少により収益性が悪化しているうえ、複数の交通機関のサービス連携が進んでおらず、乗り継ぎが不便だったり、鉄道の駅とバス停が離れていたり、始発終発時刻が合わない等、利用客の使い勝手をあまり考慮していないケースが大半です。これまでは不便な公共交通を補ってきた自家用車がありましたが、地域住民の高齢化に伴う免許返納者の増加とともに従来通りのモビリティ機能を果たすことは難しくなっています。このような情勢を踏まえて公共交通が取り組むべき課題は、下記4つであると考えます。
    • 脱炭素化に資するサービスへのシフト
      公共交通と都市計画を考えるに際して、環境の持続可能性に資する取り組みには高い透明性と報告が求められています。
    • MaaS・自律走行車と既存事業者のコラボレーション
      スマートフォンアプリ等を通じて、異なる交通手段の検索・予約・決済を一括してシームレスに行えるようにするMaaS・自律走行車と、既存の鉄道、バスを連携し、利用客の利便性を引き上げます。
    • パーソナライズされた素晴らしいHX/CXの提供
      ひとりひとりの好みやニーズにフィットする、パーソナライズされたアクセスが容易で公平なサービスへの期待に応えることが必要です。
    • 社会・経済分野における目標達成支援
      観光振興、健康・福祉の増進、ラストワンマイル配送等のインフラとして機能することが期待されています。モノの配送に関しては、ドローンや無人配送等も視野に入れて検討すべきです。

物流

  • 現在の物流政策は、令和3年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)(国土交通省)」に沿って行われています。この大綱では、今後の物流業界が目指す方向性について、下記3点を挙げています。
    • 物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流の実現)
      1. 物流デジタル化の強力な推進
      2. 労働力不足や非接触・非対面型の物流に資する自動化・機械化の取組の推進(倉庫等の物流施設へのロボット等の導入支援等)
      3. 物流標準化の取組の加速
      4. 物流・商流データ基盤等
      5. 高度物流人材の育成・確保
    • 労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流の実現)
      1. トラック・ドライバーの時間外労働の上限規制を遵守するために必要な労働環境の整備
      2. 内航海運の安定的輸送の確保に向けた取組の素指針
      3. 労働生産性の改善に向けた革新的な取組の推進
      4. 農林水産地・食品等の流通合理化
      5. 過疎地域におけるラストワンマイル配送の持続可能性の確保
      6. 新たな労働力の確保に向けた対策
      7. 物流に関する広報の強化
    • 強靭で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流の実現)
      1. 感染症や大規模災害等有事においても機能する、強靭で持続可能な物流ネットワークの構築
      2. 我が国産業の国際競争力や持続可能な成長に資する物流ネットワークの構築
      3. 地球環境の持続可能性を確保するための物流ネットワークの構築(カーボンニュートラルの実現等)※ここまで「総合物流施策大綱」概要資料より抜粋
  • これらの方向性を具現化するための統合的な施策デザインが求められるわけですが、切り口はDXとEXの2つです。DX推進によって、荷主企業から顧客までの物流プロセス全体をひとつのエコシステムと見なして、本業界に属する全企業が、同一のシステム、データ、業務プロセス、外装・パレット等を利活用し、共同輸配送によって積載効率を引き上げるとともに、宅配ボックスや置き配を普及させて再配達率を引き下げ、業務の高効率化と顧客満足を両立させることができます。このような状況になれば、ドライバーの負担も低減し、休憩時間の確保や休日休暇の取得も促進され、EXも改善されるため、逼迫する労働力不足を解消する一助となることも期待できます。積年の悲願である運賃値上げに関しては、アナリティクスを活用して需給バランスに則ったダイナミックプライシングを導入すれば、収益性の改善につながると同時に、賃金引上げの原資にも充当できます。これまでよりも一層成果との連動性を強化した報酬制度を導入すれば、頑張った分報われるため長期勤続も期待できることとなり、顧客のHX/CXにも良い影響が及ぶ可能性が高まると考えます。

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