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Outlook

2021年度の人材ビジネス主要3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで9兆5,281億円(前年度比6.9%増)で、その内訳は人材派遣業9兆2,000億円(同6.6%増)、人材紹介業2,960億円(同17.5%増)、再就職支援業:321億円(同5.2%増)となっています。経済活動が正常化するに伴って、派遣先企業における人材派遣ニーズが復調したことと、同一労働同一賃金制度による請求単価の上昇等によって、人材派遣業は拡大傾向にあります。また、多くの企業がDXに挑戦することにより、デジタル人材や新規事業創造に長けたビジネス人材のニーズが沸騰したため、人材紹介業は活況を呈しています。再就職支援業は、パンデミック期の人員調整時に利用されていたものの、ポストコロナ期となってややニーズが低下したことにより、拡大傾向は鈍化しています(出典:2022.10.19.矢野経済研究所プレスリリース)。

人材派遣業界

  • 派遣社員は、正社員より安い賃金で活用できることや、経費削減が急務になった時のコスト削減のバッファにもなる「企業にとって都合の良い労働者」という見方が定着していますが、本来は、いわゆるゼネラリストでは持ちえない高度なスキルや専門的な知見によって企業に貢献する存在です。その意味で、DXにおいて引く手数多なデジタル人材やビジネス人材は本来の意味での派遣社員の姿を体現した人材であり、彼らを確保することが人材派遣業が成長するためのKFSであることは間違いないでしょう。一部の企業においては、彼らのような稀有な人材は登録型ではなく特定型として雇用契約を結んで囲い込むことにより、他社に奪われないようにすることが重要です。
  • 派遣社員の労働移動を積極的に推進することも急務です。インバウンドの復活によって、旅行業界や観光業界における人材ニーズが再び盛り上がりを見せはじめ、接客業や飲食業等、常に人手不足に悩まされている業界がある一方、DXの取り組みによって活躍の場を奪われた派遣社員の多くは、これらの業界での就業経験がなく、未経験業界での就業に躊躇するケースは多いでしょう。同一労働同一賃金に相応しい水準に到達できるまでリラーニングとリスキルを徹底し、不安の払拭に努めることが労働移動の実現には重要です。
  • 最大の課題は、EX、とくに賃金に関する不満が鬱積して久しいことです。現在の派遣社員、特に登録型派遣社員は、正社員になれずやむを得ず派遣社員として働いている人が多数であり、正社員との経済的・社会的格差を痛感しつつ、契約打ち切りに怯えながら、キャリアプランやライフプランを思い描くこともままならない日々を強いられている状況です。「EXなきCXは成立しない」という原則から考えれば、自分自身の衣食住に不安や不満を抱えた派遣社員に対して、派遣先企業の要望に応えるCXを提供せよというのは無理があります。体面を取り繕うような教育研修を課す以前に、同一労働同一賃金制度の規定の抜け道を探るようなことをせず、本来の主旨を遵守した賃金水準に昇給させるために派遣先企業と協議することをはじめ、派遣元企業の評価基準に照らして相当と認められた派遣社員に対しては、賃金の引き上げと派遣元会社の社員と同等の福利厚生を付与し、該当者の無期転換の促進等、派遣社員でも正社員と同等の人生をおくることができる環境を整えることが必要です。従来からの派遣社員の待遇では、契約満了を待たずに優秀な人材から見放されるようになることを改めて認識して改善しましょう。派遣社員に対して卓越したEXを実現できれば優秀な人材を惹きつけることが可能になり、DXに挑戦する派遣先企業からの高度化するニーズに応えらることが可能になり、競合に対する優位性を確立できます。競争が激化する中で、中小規模の派遣会社が生き残るためには、回り道に見えてもこの打ち手が最も効果的かつ競争力を発揮すると考えます。

人材紹介業

  • DX推進に不可欠なデジタル人材とビジネス人材に対するニーズに応えられる企業が支持されています。豊富な実績を有するプロフェッショナル、スペシャリスト、エンジニア等は引く手数多なので高額俸での契約成立が見込めますが、入社後も他社のスカウトの対象になりやすいことや、担当職務における裁量や報酬、挑戦できる職務に対する不満等が生じた場合等には再流動化しやすいこと、またフリーランスとなる選択肢も持ち得ること等から、必ずしも紹介先企業に定着するとは言えず、場合によってはペナルティによる報酬返金リスクを抱えることには留意が必要です。このような稀有な人材を中小企業が雇用することは事実上難しいため、人材紹介業の存在意義は高いものと考えますが、各社ともハイクラス、あるいはハイレベル人材の紹介に注力しているため競争は激化します。差別化のポイントは、ハイクラス人材と紹介先企業のフィッティングを的確かつ丁寧に実行することです。スキルやスペック、パフォーマンス等に関して相互確認するだけでなく、カジュアル面談やインターン等によって、パーパスへの共感度、業績貢献できるという効力感、マネジメント基盤、職務内容、付与される責任と権限、A&R(Attraction & Retention)、カルチャ等とのフィット度について、両者に確認を取りながらコーディネイトするサービスが従来以上に重要になるでしょう。手数料水準の見直しや情報提供の質の向上等、コストパフォーマンスを高めることと合わせた施策が期待されます。

再就職支援業

  • 離職を余儀なくされた人に対して、新たな活躍の場を確保するために必要なサービスを提供します。出身企業から早期退職優遇パッケージの一環として提供されることが多く、キャリアカウンセリング、リラーニング、リスキル、セミナー等を通じて、求人企業とのマッチングを行います。ハイクラス人材や管理職層等、高度専門性を有する即戦力を採用したい求人企業、例えば、IPO準備に入るスタートアップ等がIPO経験者を採用したい場合等で成果が見込めます。留意すべきは、アナログビジネスモデルで成果貢献してきた人材でも、デジタルビジネスモデルで同じような成果貢献ができるとは限らないことです。リラーニングやリスキルに努める過程で、これまで培ってきた仕事の仕方とは全く異なるアジャイルなワークスタイルにすぐ変革せよというのは無理であり、ITリテラシー不足なら更に難易度が増しますので、デジタルネイティブとのフィット度は好ましいとは言えません。また、そもそも離職に至った理由のひとつは、リラーニングやリスキルができず社内再配置ができなかったからであり、再就職支援企業が改めて働きかけたところで首尾よくいくとは考えにくいという前提に立ってサービス内容を考える必要があります。再就職先の確保に関してもこの点が懸念されることが多く、出身企業より小規模でレガシーなビジネスモデルとワークスタイルで働くことができる企業とのマッチングが優先されることが大多数でしょう。しかし、このような企業は該当者の希望とはフィットしないことも多いため、話がまとまるまでには曲折を経る可能性が高くなります。企業との連携や人脈の強化等が競合との差別化ポイントになるでしょう。

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