EX

EXとは、ヒトが自分が働く組織との関わり合いをどう捉えているのかを総合的に評価したものです。長く続いた「企業の時代」では、組織とヒトは主従関係であり、EXの重要性は現代ほど認識されてきませんでした。しかし、ヒトの価値観や働き方の多様性を尊重することが成果創出に大きな影響を及ぼす「ヒトの時代」になった今、組織とヒトは主従関係からお互いが並び立つパートナーへと変わり、組織がヒトを選ぶのと同様、ヒトも組織を選ぶようになりました。組織はヒトの期待を叶える(時に期待を上回るほどの)ステージの提供に注力し、ヒトはその時の自分に最適なEXを提供する組織を選ぶのが当たり前になりつつあります。卓越したEXを提供する組織には、優れた成果創出力を持つヒトを惹きつける魅力があり、彼らによって更にEXがレベルアップされ、更に優秀なヒトが集まる好循環が生まれます。成果創出の源泉はヒトであり、卓越したEXにヒトを惹きつけ(アトラクション)離さない(リテンション)力がある以上、EXほどエッジが効く差別化は他にありません。

今の時点ではEXに戦略的に注力している組織は、サービス、テクノロジー関連をはじめ、ヒトが業績に大きな影響を及ぼす産業で散見される程度でしかありません。しかし、TOYOTAが自動車製造業からモビリティ・カンパニーへと進化したように、すべての産業がサービス化・ソフト化するなかで、EX変革は不可避であり、EXの優劣が成果創出力の差に直結する可能性が高まっています。ヒトよりモノを優先してきた産業や、経営に対するヒト一人当たりのインパクトが大きい中堅中小企業こそ、EX変革は喫緊の課題なのです。

EX変革は、トランスフォーメーションの主要4要素(EX, CX, DX, Enablement)の中でも最優先で取り組みます。なぜなら、顧客を驚嘆させるほど素晴らしいCXは卓越したEXを実感するヒトによってのみ成し得るものであること、卓越したEXなきDXは、テクノロジーツールとプラットフォームのインプリメンテーションに過ぎず、期待通りの成果創出につながらないだけでなく、テクノロジーにヒトが振り回されることになりかねないリスクを内包していること、そしてその難易度ゆえにただでさえ難渋するEnablementは、卓越したEXを享受できてなければ組織固有のケイパビリティへの昇華に取り組むモチベーションを維持することさえ覚束なくなるからです。テクノロジーツールのインプリメンテーションを優先し、卓越したEXの実現を後回しにすることは愚の骨頂であると肝に銘じておきましょう。

本コンサルティングは、下記4つの切り口で卓越したEXを持続的に提供できる環境へのトランスフォーメーションを支援します。

  1. EA(Expectation Alignment):期待と役割の整合を取る
  2. CA(Collaboration Agreement):緩やかにつながって協働する
  3. EE(Employee Engagement):従業員のエンゲージメントを強化する
  4. SPM(Strategic People Managemnt):戦略人事マネジメントを確立する

本ページ構成項目は下記リンクから直接ご参照いただけます。

EA

CA

EE

SPM

Undercover

Other References

EA - Expectation Alignment

ヒトが組織に抱く期待と、組織がヒトに求める役割との整合度(EA, Expectation Alignment)は、組織の健全性を測る最も重要な指標です。ヒトの主観的な職場体験と現実の体験が同じ水準で叶えられる、もしくは期待以上なら、優れたEXに繋がりますが、そうでなければ就職したことを後悔することになるのです。EAは、少しずつゆっくりと向上させることができるものですが、損なわれる時は一気に退職にまで至るものでもあります。期待と役割の再定義をはじめ、引上げポイントの明確化、リーダーシップのあり方、下落予防策やモニタリング体制等、必要な施策をデザインします。

  • EA向上のために重要な6つの要素の明確化
  • 望ましいリーダーシップのあり方
  • EAを損なう6つの要因
  • EA下落を防ぐ5つのポイント 等

CA - Collaboration Agreement

緩やかな連携の合意(CA, Collaboration Agreement)へと進化したヒトと組織の関係性について、明示的なものは勿論、黙示的なものも明文化を通じて望ましい内容へとまとめます。端的に言えば、労働諸条件、各種規程等に加え、「暗黙の了解」についても詳らかにしたうえで協働契約を交わすのです。双方が合意を守っている間はあまり意識されませんが、問題発生時にその有効性が問われます。故意性、発生頻度、重大性、是正措置等を評価して、迅速かつ適切なリカバリができなければEXが損なわれて関係解消に至る恐れもあります。合意内容が関連法規に抵触する可能性も入念にチェックして提携しましょう。

  • 組織ブランドに対する信頼度
  • パフォーマンスに関するゴール・セッティング
  • 暗黙の期待や責任に関する双方の認識ギャップ
  • 問題発生から解決に至るまでのCAの変化 等

EE - Employee Engagement

EE(従業員エンゲージメント)は、ヒトが組織とのかかわりをどう感じているかという総合認識です。5つの要素で構成され、全て継続的にハイレベルで実現されることで初めて強靭かつ素晴らしいEXとなります。逆に言えば、ひとつでも低レベルだと脆弱になるので、常にレベル維持に努める必要があります。5つの要素に最も影響を及ぼすのはリーダーの個人的資質です。退職理由のトップが人間関係、とくにリーダーとの関係という事実と、流動的なEEを高く維持できるか否かがEXを左右する以上、リーダーの人格や価値観、品格にフォーカスした取り組みで良好なEEを形成するすることが可能です。

  • エンゲージメント分析(5つの要素分析)
  • リーダーシップ分析
  • モラールサーベイ
  • アセスメント 等

SPM - Strategic People Managemnt

ヒトと組織の関係が緩やかな連携になった今、マネジメントのあり方や構造も変革に迫られます。働き方改革をはじめとするマネジメント・トレンドを踏まえつつ、DXやCXの前提となる卓越したEXを実現するマネジメント基盤が具備すべき要件を明確にして、具体的なデザインに着手します。組織人事に纏わる従来の諸規程・諸制度から継承すべきDNAを抽出、競争力がある水準のEXを実現するための機能を明らかにし、組織として具備すべきEnablementも考慮して、テクノロジーと協働する働き方を前提とした新しい組織人事マネジメント基盤を構築しましょう。

  • BPR並びに組織統廃合
  • チェンジ・マネジメント
  • 人事制度改革
  • PD(People Development)&Re-Skill 等

Undercover

ESS(Empolyee Satisfaction Survey:従業員満足度調査)実施企業はこれまでも数多くありましたが、継続性や状況改善への活用に課題を抱えていたケースもまた数多くありました。ESSを卓越したEXの実現に役立てる企業も増えていますが、例え第三者による調査であっても、誰が何を言ったのか明らかになりやすい質問票やインタビューによるサーベイでは、率直な意見や本音を知ることに限界があることも事実です。また調査対象者の視点や視野における問題の捉え方と、経営の視点や視野におけるそれとは違いがあり、部分最適ではあっても全体最適にはならないという問題も発生しやすくなります。

わたしたちが提案するのはUndercover(潜入調査)です。Undercoverは、経営者をはじめトップマネジメントが部下の仕事ぶりと職場における課題を発見するために転職者や異動者を装って実態を調査することが本来の活用方法なのですが、これをESSに転用します。わたしたちコンサルタントが正面からインタビューや質問票への回答を依頼する普通のESSとは異なり、経営者以外誰も本当の事情を知らない状況でありのままの状態のクライアントに潜入、ESSの調査項目に基づいて現場での実態や働くヒトの本音を詳らかにします。

例えば営業職の満足度を測る場合なら、営業経験の乏しい中途採用者として営業職として従事し、営業活動に勤しむ一方で、マネジャーや先輩、後輩の活動状況をつぶさに観察、日々の活動の中から漏れ聞こえてくる本音、マネジメント上の課題やワークライフバランスの課題、給与水準や福利厚生制度等に対する満足度等を浮き彫りにします。調査項目をすべて評価できるまでの間(一か月から最長四半期程度まで)にコンサルタントがあげた業績はクライアントの業績としてそのまま計上しますので、業績向上に貢献できる営業経験が豊富なコンサルタントを任命し、二次的な効果として営業生産性向上を支援することも可能です。他職種の場合も同様に調査を実施します。

なお、クライアントのご要望があれば、Undercoverの本来の目的、すなわち課題発掘やその解決指針の提示等を行うことが可能ですので、お気軽にご用命ください。

Other References

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EX
EX(従業員体験)
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HRDX
HRDX(人事部門変革)
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Human Capital Investment
人的資本投資(旧人件費)
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Human Capital Management
ヒューマンキャピタルマネジメント
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OX
OX(組織変革)
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People Analytics
ピープル・アナリティクス
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Workforce Design
ワークフォースデザイン