Education
Outlook
まず、教育サービス・学習塾の市場規模の推移を確認してみましょう。18歳人口の減少は、2020年117万人、2030年105万人、2050年88万人という見通しで減少する一方です。定員割れの大学の割合は、2021年度で46.4%と前年比で15.4ポイント増えました。また、COVID-19の感染拡大に伴うオンラインサービス(eラーニング)の需要拡大や、DXやジョブ型HCMの推進に伴うリラーニング需要の拡大によるリカレント教育の伸張により、市場規模自体は成長基調にあります。しかし、オンラインサービスの展開力や、AIサービスの提供力の違いによって二極化が進んでいることや、入試問題が都道府県ごとに異なるため全国各地に有力企業が相並び立つ事情を考慮すると、DXとAIを使いこなす組織能力を備えた事業者が勝ち残ると推察します。
大学に関しては、「教育」「研究」「社会発展への寄与」という3つの役割のいずれに軸足やウェイトを置くのかを定め、その実現に資する戦略を遂行していくことが求められます。文部科学省の指針を踏まえつつ、高等教育機関が果たすべき役割、産学連携による高度人材育成、ジョブ型インターンシップ、専門職大学院、医療人養成等のテーマに取り組むことになりますが、学生と社会に対する価値創造にフォーカスすることが求められるでしょう。また、教職員が直面している諸問題の解決も急務です。義務教育課程における生徒間のいじめ、課外活動指導、保護者対応等で忙殺され、疲弊する教職員の過酷な労働環境の改善が必要です。いち教師や学校に一任するのでなく、教育委員会や地方自治体、国と連携して、実効性に優れた取り組みの実施が待たれます。また、大学運営上の不祥事や、教職員によるハラスメント事案等を未然に防ぐための仕組みが適切に機能するよう改善しなければなりません。事件によるレピュテーションの低下や学生への影響を考慮したうえで、強制力や抑止力を発揮するガバナンス体制を整えることは、教育機関にとっても不可欠です。
こうした状況において、教育業界が取り組むべきテーマを下記のように考えます。
教育・研究機能の高度化・強化
- 教育機関として掲げたパーパスを実現するため、ブランディングにより学生獲得競争力を強化することや、産学界のニーズに応えられる優秀人材やデジタル人材の育成カリキュラの導入、産学連携によるイノベーション及びスタートアップ支援による研究機能の高度専門性の確立を図ります。
現代の教育環境に合わせた業務改革の断行
- BPRとテクノロジー活用による業務の最適化・高効率化を徹底することや、オンラインサービス・AIサービス等、ネクストテクノロジーを活用した新しいサービスの提供、世界中から学生を惹きつけるためのボーダーレス化・グローバル化に対応した業務へと改革します。
経営体制の強靭化
- ビジネスアナリティクスを活用したデータドリブン経営への転換をはじめ、若年人口減少による収入減少にも揺るがない強固な財務基盤の確立を目指し、持続的な経営の脅威となりかねない不祥事や事件等を未然に防ぐガバナンス体制を構築します。
教職員の働き方改革
- 教員における教育・研究以外の業務の切り離しと、それを実現するためのバックオフィスにおける業務効率化・戦略的アウトソーシングを実施すると共に、教職員人事制度の改革に取り組み、働き方改革を推進します。
ユニークな学生支援策
- キャリアデザイン支援(留学支援、大学院進学指導、ポスドク支援、就職支援等)、保護者の年収とは無関係な独自の給付金制度の導入、18歳成人に伴う社会性教育、リテラシー教育の実施等で学生が勉学や様々な経験を積む環境を整えます。
Consulting Themes
(大学等運営法人)
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パーパスデザイン&ブランディング
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統合・学部再編/PMO戦略の策定並びに実行
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財務構造変革
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データドリブン経営の推進並びにDXによる経営の高効率化
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収入拡大戦略の策定
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学生募集マーケティング戦略の策定
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学び・教育のDX推進
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研究成果のイノベーション&インキュベーション
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ネクスト・テクノロジーを活用した業務の高効率化、シェアード化による戦略的アウトソーシング
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教職員人事制度再構築
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ガバナンス・コードの策定 等
(教育サービス事業者)
Companies in this industry
- 学校法人
- 予備校・学習塾
- 通信教育 等